ジュリアン有生の「徒然なるページ」

5月8日

 

第28回 地獄の断食合宿で起きたある出来事

ジュリアンは昔本当にブワ〜っと太ってしまった時期があった。何をやっても全く効果なしで、悩んでいた。そこで、ヨガをやってみる事にした。ヨガ教室へ入門してすぐに、そこの教室で毎年恒例になっている「断食合宿」があった。もちろん、ジュリアンも参加した。今思えば、岡山県の山の上にある荒れ果てた寺で、1日に口にするものは、お茶とプルーン1個だけという食生活(?)で1週間を過ごすというプログラムに、新幹線代別で7万円は高すぎるように思うが、その時のジュリアンはとにかく痩せたかったので、お茶とプルーンで7万円という感覚ではなく、1週間で○キロ痩せて7万円という感覚だった。

 50人くらいが参加していたその合宿は、朝5時に起こされ、お寺の大掃除をして、山を走らされて、休憩してヨガの時間、で、また山の掃除、そしてまたヨガ・・・・こんな1日のスケジュールだった。

荒れ果てたオンボロ寺は、お風呂もオンボロだった。何日目かに男性用のお風呂が調子が悪くなり、女子が入った後、時間を決めて交代して男性は女子用のお風呂場でシャワーを浴びる事になった。

何をやってもドンくさいジュリアンは、そんな事知る由もなく、夕方6時で女子の入浴時間は終わりだったのに、6時からお風呂に入ってしまった。

前日まで大勢いた他の女子の人達はなぜか誰もおらず、やや不思議に思ったが、深く考えることなく入浴した。そして脱衣場へ向かおうとした時、突然入り口の扉が開いた。

目の前に若いヨガの男の先生が立っていた。先生も私も凍り付いてしまった。次の瞬間その先生は「し、失礼!!」と言って脱衣場へ戻っていった。

「今、一体何が起こったのだろう・・・?何?どうして?え???」そんな気持ちで、暫くしてから脱衣場へ行くと、若い男の先生はもういなかった。

次の日、ヨガの時間等、何度かその先生と顔を会わせたが、先生の方は別段何の変化もなかったし、何も言ってこなかったので、「あ〜よかった。あんまり突然の事で、あの先生、あの裸の女が私だとはわからないまま扉を閉めて出て行ったんだわ」とジュリアンは胸をなでおろした。

そして、合宿最終日がやってきた。最後に先生方が一列に並び、そこを順番に生徒が流れるように挨拶を交わしてゆく行事があった。その挨拶はお互い抱きしめあいながら「ありがとうございました」「これからも頑張ってください」と言葉を交わす決まりになっていた。

順番に生徒が進んでいき、ジュリアンがお風呂場事件の男の先生と挨拶を交わした時、先生が耳元でささやいた。「あなたとは、とんでもない所でお会いしましたね!」

ガア〜ン!!!

ジュリアン有生、一生の不覚!!顔をばっちり認識されていたのだ。そして、当時のデブデブの肉体も・・・

せめてもの救いは、その先生が本当に誠実そうな方で、「あなたとは・・・」の一言もちっともいやらしい感じがしなかった事だ。

その先生にとってもジュリアンにとっても、お互い一生に1度経験するかしないかのちょっとしたハプニングだった。

 

ちなみに、断食の成果はたった3キロで、その後1週間で元の体重に戻ってしまった。

1キロあたり約2.3万円の高い高いジュリアンのお肉は、再生能力も高すぎたってことかしらん?


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