ジュリアン有生の「徒然なるページ」

8月9日

第41回 ダーリンとジュリアンの結婚行進曲
第1章 You got mail!

ダーリンとジュリアンは二人ともホロスコープ上で、「突然結婚する」という暗示がある。

では、ホロスコープ上の突然の結婚が示した突然とは一体どのくらい突然だったのかを今回はご紹介してみようと思う。

ジュリアンは、世の中にパソコンが普及して随分経ってからパソコンを買った。それまで、古い古いワープロを使っていた。2000年4月、電気屋さんで「今買うならパソコンの方がいいですよ」と勧められ、内心高くついたと思いながら買ったので、配達してもらっただけで、初期設定は自分でやります、というコースにした。

無謀な性格のジュリアンは、箱から新品のパソコンを取り出し、いきなりドライバーで後ろを開き、半導体なるものを引き出し、自分でリモコンスイッチで、パソコンの電源を入れたり、切ったりできるようにもした。が、インターネット接続がなぜかどうにも上手くいかなかった。そこで、友人に電話をして聞いてみた。もう既にパソコン暦2年だった友人も、なぜなのか全く分からないとの事で、気の毒がってくれたその友人が、自分の知人にそこそこパソコンに詳しい人がいるので、聞いてみてあげる、と言ってくれた。その際その人に、ジュリアンの携帯のメールアドレスを教えても良いかと聞かれ、ジュリアンは信用のおける長年の友人の言う事なので、OKした。すると、その夜携帯に、友人の知人なる人からメールが届いた。その人は、携帯のアドレス宛に親切に色々指導してくださった。

翌日、やっとの事でインタネット接続が完了した。

ジュリアンが初めて契約したのは、メールが届くと「You got mail!」と叫んでくれる、皆様お馴染みのプロバイダーさんだった。テストという事で、何度かその人とメールのやり取りをした。それから、暫くの間、「調子はどうですか?」等のメールを頂いたりして、ジュリアンのパソコンは毎日のようにその人からメールが届いた事を知らせるため「You got mail!」と叫んだ。段々とその人とはただ教えて頂くだけでなく、「メル友」チックな関係になっていった。ある時のメールで、その人がジュリアンの実家と比較的近い所に住んでいる事が分かり、一度会ってみませんか、という趣旨のメールを頂いた。

友人の知人とはいえ、警戒心のあったジュリアンは、「それではお世話になった御礼に、そちらの近くまで伺います」と返事をした。

どこかで待ち合わせをして、車で迎にきてもらって等というコースを避けたかったからだ。
数日後、ジュリアンは御礼と書かれた<のし紙>が巻かれてあるお菓子の箱を手に、とあるバス停に立っていた。

6月下旬、初夏の昼下がりだった。

バス停についたら携帯に電話下さい、と伝えられていたので電話をして、その人が現れるのを待つ事約5分。後ろから、「はじめまして」と言う声が。振り向くと、恥ずかしそうにモジモジした男の人が立っていた。未来の旦那さまになる人との出会いの瞬間だった。

ダーリンとジュリアンはバス停近くの喫茶店に入り、1時間程話しをした。

その時の会話の中でダーリンは言った。
「あの・・・そんなに贅沢はさせてあげられないかも知れないけど、たまに、美味しいものを食べに連れて行ってあげるくらいの事はできると思うよ。。。」
マヌケなジュリアンはその言葉の意味が文字面でしか理解できず「あぁ、そうなんですか。。。」と答えた。

初めて会った人とそんなに長く話し込んではいけないと、まだまだ警戒心のあったジュリアンは、その会話の後、すぐに「あの、私、もうそろそろ失礼します。本当に色々ありがとうございました」と言って帰ってきた。

その夜、ダーリンからメールが届いた。「今日は、わざわざこちらの方まで来て頂いて、すみませんでした。もしよければ、もう一度、今度はどこかゆっくりとお食事でもしながらお話ししたいのですが・・・」という趣旨のメールだった。帰り際にいつまでもジュリアンの後姿を見ていたダーリンの顔が何となく心に残っていた事と、そう悪そうな人でもなかったという印象もあり、お誘いを受けてみる事にした。

次の日曜日、今度はジュリアンの実家の最寄の駅から2つ目の駅前で待ち合わせをした。ダーリンにそこまで車で迎えに来て貰い、そこから程近いレストランへ行った。

レストランには、もう既にダーリンが予約を入れていたので、ドリンクのオーダーだけすると、ウェイトレスさんはすぐに下がっていった。

その店にはグランドピアノがあり、丁度演奏が始まったので、ジュリアンはグランドピアノの方を見ていた。すると、ダーリンがちょっと怒ったような口調で言った。

「いったい君は、どんな条件だったら結婚するわけ?」

ハッと、ダーリンの方を振り向き言った。

「え?結婚ですか?・・・う〜ん、そうですねぇ、あの、実は私花嫁さんになりたいんです」

「え?ハナヨメサン?」

「あ、はい。そうです。あの、結婚するにあたっては、お嬢さんと結婚させてくださいから始まって新婚旅行に至るまで、質素でも良いので結婚フルコースを味わってみたいんです」

ダーリンの顔は突然明るい表情になり「なぁんだ、そんな事でいいの?」

「へ?」

「そんな事なら、おやすい御用だよ。へぇ、そんなんでいいんだ」

「え、でも女の子にとってはとっても重要な事ですよ。なんてたって、私は女はその日の為に生まれてきたと言っても過言ではないと思ってるくらいですから」

「じゃ、さ、今度の日曜、結婚式場探しに行こうか?」

「え?結婚式場ですか?・・・あ、はい・・・」

 

ジュリアン有生、一生一代の関心事、「結婚」が決まった瞬間だった。

 

第2章へつづく。。。

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