ジュリアン有生の「徒然なるページ」
1月28日
第50回 砂の城
よっちゃんが、昔よく、お兄ちゃまとジュリアンに言っていた言葉。 「若い時に、しんどい事やイヤな事から逃げてはダメよ。楽な事、楽しい事ばかり選んで生きていくと、砂の城しか建てられないわよ」 つまりは、こう言うことである。 若い時に、しんどい事やイヤな事を頑張れば、本当の意味での基盤ができる。しんどい事やイヤな事は、誰だって同じようにしんどくて、イヤなものなのだ。だけど、そのしんどさ、辛さを耐えて頑張れば、その物事に対しての知識も吸収でき、そこから有形無形の産物を身につけることができる。そして、その「本物」を身にまとい、月日を重ねられるから、ある程度の年齢になったとき「本物」と認められるようになるのだ。逆に、しんどい事、辛い事をさけて通って生きた人は、例えその場その場ではウソやごまかし、巧みな駆け引きで切り抜ける事ができたとしても、その人は「はだかの王様」なのだ、という事である。 昔、勤めていた職場で、50代のおっさんがいた。20代で国家資格を目指すも、挫折。当時のライバルは見事に合格して「先生」と呼ばれる立場となった。こういった場合、この両者が同じ職場に残る事は、両者共やりにくいものである。 一方は、皆から「先生」「先生」と呼ばれ、もう一方は「○○さん」もしくは「事務員さん」と呼ばれ続け月日を重ねるのである。 月日が流れ、二人共が50代になった頃、ジュリアンはそこで勤めだした。 「先生」が留守の時、ジュリアンを含め若い事務員にそのおっさんが口癖のように言っていた事。 「二人共が、国家資格合格を目指して頑張っていた頃、あいつ(先生)は、夜遅くまで勉強していたからいつも事務所には遅刻してきていた。ボクは、真面目に出勤していた。あいつの合格は、あいつが遅刻してきた分、ボクが事務の仕事をしてきたからできた事なんだ。」 しかし、世の中、結果がモノを言うのである。それに当時新婚だったそのおっさんと、国家資格を取るまでは結婚はしない、と決めていた「先生」とでは、やはり帰宅後の試験勉強の時間と意気込みには圧倒的な差があったと思う。 そして、そのおっさんはある時からこう言い出した。 「冠が欲しい」 そのおっさんは、自分の立場を利用して、関係会社の役員に、事務所のみんなが知らない間に就任し、事務所からとその会社からと二重にお給料を貰うようになった。 そんな事、勿論、「経営者の先生」に知られてはいけない。そこで、そのおっさんは、自分もこれまでと変わりなくそこでの仕事をこなしているように見せかける為、自分の仕事を若い子に押しつけ、先生に報告する時や、何かを渡す時だけそのおっさん本人がお目見えし、とり行っていた。 そのおっさんは、他の事務員より何倍ものお給料を貰っていた。それは、年齢の差もあるが、難しい、難解な仕事はそのおっさんが任されていたからだ。 ところが、その難解な仕事までも若い子に押しつけるようになっていった。当然事務所は困惑する。 運の悪い事に、その若い子の中ではジュリアンが一番年上だった。 結果、お給料は他の若い子と変わらないのに、難解な仕事は全部ジュリアンが陰でおっさんから言い渡され、やっとの思いで仕上がった仕事は、おっさんがしたという事にして、提出される事が続いた。 本来の自分の仕事と、おっさんに陰から回される仕事とで、ジュリアンは、ある日の通勤途中、駅で気絶して倒れてしまった。 周囲の人の「きゃ〜!!」という声と、知らないおばちゃんの「大丈夫?しっかりして!今駅員さん呼んできてあげるからね」という言葉を遠くで聞きながら、気が付けば駅長室の長椅子に横たわっていた。 救急車を駅員さんが呼んでいた。 ジュリアンは、むっくりと起きあがり「すみません。もう大丈夫ですから、救急車は結構です」 駅員さんは、一応救急車に乗って病院へ向かった方がいいのでは、と勧めて下さったが「どうしても今日の午前中までにしなければならない仕事があるので。すみません。ありがとうございました。」と言って、立ち上がった途端、フラついてしまい、つい立ごとひっくり返ってしまった。 その日は何とかかんとか出勤したものの、2ヶ月後、過労のため遂に食事がとれなくなり、退職した。 それから数年が過ぎた頃、その業界のある別の先生と会い、お話しする機会があった。 「そうそう、君があそこの事務所にいた頃にいた、あの年取った男の人。あの人、辞めたんだよ。」 「え?そうなんですか?」 「辞めさせられたとかって聞いたんだけど、君がいた頃、何かあったの?」 「あ、いえ、上の方の事はあんまりわからないので・・・」 「そう・・・若き日のライバルが、一方は先生になり、一方はなれなかった、という状態は、無理があるからねぇ。その辺の絡みなんだろうなぁ・・・」 昔のいきさつを知っている人、きっと他にもいるのだろうなぁ・・・と思った。 結局、努力不足でできた砂の城に、冠を無理矢理乗せたら、その冠の重さで砂の城は崩れてしまったという事だ。 言い換えれば、冠というものは、「本物」の上にしか乗らない、という事だ。 いつもなら、ここで、〆の文言を書いて終わるのだが、今回は記念すべき(?)第50回という事で、ここで12星座別「ジュリアンの裸の王様になりやすい上位ランキング」を列挙してみましょう。 ※ 実際には、太陽が各星座にあるだけでは判断できませんので、念のため。 <ジュリアンの『裸の王様』になりやすい上位ランキング> 見栄とプライドは高いが、娯楽・享楽に本能をくすぐられる為、地道な努力が出来にくい。強烈な支配欲が満たされないと努力より恫喝等という手段を用いても王様になろうとするため、民衆は恐怖の前に沈黙することに 2. 水瓶座 ナルシストの為、王様である気分に自分だけが浸っているという状況になりかねない。このタイプの場合、他の誰が認めてくれなくても、民衆がだれ一人いなくても、自分自身が王様だと思い納得している。その為かあまり周囲に害は及ぼさない 一番でないと気が済まない割には、短気と早合点のため、物事の本質をじっくり考える事が苦手。スタートはいいが、仕上げが苦手なため、最終段階で正規の冠をゲットできない場合も。しかし「一番」に拘るためゲットできた人物に対して、直接ケンカを売ってでも、自分が勝ったと思いたいという行動に出やすい ・・・という事で、獅子座さん、水瓶座さん、牡羊座さん、ごめんなさい!! お遊びという事で、大目に見てね!! ジュリアンにとって、50代はまだまだ先(?)だけど、これから先、本物の冠を皆さまから乗せていただけるような鑑定師であり、人間になれるよう、これからも頑張りますので、どうか皆さま、これからもジュリアン有生をよろしくね!! |